エギュイエット・デ・ラ・フローリア「Robin Wood」

2023/06/22

昨日の打合せとその後のWhatsAppでの意見交換の結果の通り、この日は午後からの雨を見越してランデックス近くの小ピークであるエギュイエット・デ・ラ・フローリアの短いルート「Robin Wood」(TD 6a)を登ります。

シャモニー・センターのバス停でバスを待っていると早くもパラパラと雨が降ってきましたが、レ・プラに着いてみると雨は上がっており、どうにかこの日のクライミングを決行できそう。フレジェール行きのゴンドラ駅でテオと合流し、さっそくゴンドラに乗りました。

ランデックス駅の右手に3日前に登ったグランド・フローリアの岩壁があり、そのまた右にある小岩峰が今日登るエギュイエット・デ・ラ・フローリアです。

例によってスノーブーツを履いてのアプローチになりますが、今回は懸垂下降で取付に降りてくることになっており、したがってスノーブーツや(念のため持ってきた)アイゼンやアイスアックスはリュックサックに入れて取付に残置しての軽装でのクライミングとなります。それならば!というわけで、全4ピッチのうち易しいピッチとなる奇数ピッチをリードさせてもらうことにしました。

1ピッチ目(5a)、私のリード。このグレードなら楽勝だろうと思ったらそうは問屋が卸してくれず、最初のクリップから先が少し立っていてフットホールドも細かい感じ。そこでテンションを掛けずに2歩ほどクライムダウンしてボルトの右側に転進したところうまくホールドがつながり、その先は傾斜が緩やかになって容易に確保支点に辿り着くことができました。

2ピッチ目(5b)、テオのリード。岩が堅くて快適ですが、それ以外には特に特徴のないピッチだったような。

3ピッチ目(5b)、私のリード。出だしの数手が核心部で、強く外傾したバンドを細かいフットホールドを頼みに右へトラバースし、ランナーを2ピンとったら薄かぶりの壁の上にあるガバを両手でつかんで大胆に身体を壁の上へと引き上げます。ここをこなせば傾斜が緩んで順調にロープを伸ばすことができますが、普段アルパインヌンチャクしか使っていない私は、クイックドローの使い方(どちらのカラビナをボルトに掛けるか)をちゃんと意識するようにと極めて初歩的な指導を受けました。お恥ずかしい……。

4ピッチ目(6a)、テオのリード。3m登ったところにパワーを要する薄かぶり越えが広がっていますが、この核心部にはボルトがほとんど連打と言っていい間隔で3つ打たれているのが安心材料です。ホールドはガバですが、テオは最初につかんだガバが脆そうなのを警戒して「Be careful!」を繰り返してから抜けていきました。一方、後続の私の方は気楽なもので、ボルダリングジムの感覚でこのかぶり壁を大胆に越えて終了点を目指しました。

終了点からは取付まで2ピッチの懸垂下降。4ピッチと短いルートでしたが、堅くフリクション抜群の花崗岩のクライミングはやはり楽しい!

取付でシューズを履き替え、デポしてあった装備を回収しようとしたとき、テオはその一部をシュルントに落としてしまいました。がっくりきたテオはそれでも私のヘッドランプを装着してシュルントに潜っていきましたが、シュルントの深さは5mほどもあるらしく見つけることができません。どうやらこれは、残雪が消えるまで1カ月ほども待つしかなさそうです。

下界に戻ったのは正午頃。再びレ・プラのバーに立ち寄り、一杯引っ掛けながら翌日以降の行程の最終確認を行ってから、テオの運転する車でシャモニー中心部まで送ってもらいました[1]

夕方、シャモニー市内は大嵐に見舞われました。今日はいくら降っても吹いてもかまわないから、明日以降は好天に恵まれますように。

脚注

  1. ^今さら言うまでもないが、イタリア人は飲酒運転に関して日本人ほど厳格ではない。