アマ・ダブラムBCロッジ〜BC

2024/10/22

△12:30 アマ・ダブラムBCロッジ → △12:45 BC

今朝は快晴。昨日ロッジの屋根に薄く降り積もった雪が日が昇るにつれて溶けて軒先から滴り落ち、自室の出入りの際に濡れないようにするのに苦労するほどです。

ロッジの前から見上げた、真っ青な空の下のアマ・ダブラム。今日はその足元へさらに近づく予定ですが、BCはまだ設営の途中ですし、移動時間もごくわずかなので、当面ロッジでのんびり過ごします。部屋を明け渡してロッジの外で日向ぼっこしながら双眼鏡を借りてアマ・ダブラムを見上げると、山頂直下のスノーリッジを下っていると思われる人の姿が見えました。やがてBCの様子を見に行っていたチリンが戻ってきて、ロッジで昼食をとってから移動する旨を告げられました。そのままぼんやり屋外に座っていてもいいのですが、気温が上がって暑くなってきてしまいました。このため涼しいロッジの中に退避することにしたのですが、このことからもわかるように一日の中での寒暖の差の大きさには驚くばかりです。

誰が持ち込んだかロッジの本棚にあった「G」をコーラ片手にしばらく眺め、これに飽きたところで今度はロッジの中を観察して回ると、ダイニングルームの壁に掛けられたホワイトボードに目が止まりました。そこに描かれたアマ・ダブラムの山頂には「6814MTR」と書かれていますが、実はアマ・ダブラムの標高は資料によってまちまちで、日本語版のWikipediaには「6856m」と「6812m」の二つの標高が混在していてどっちやねんという感じ。仕方ないのでこの記録の中では一番控えめな(英語版Wikipediaも採用している)「6812m」とすることにしました。そしてホワイトボードに書かれた今日の日付「22nd October」は私の65歳の誕生日です。つまり、数日後に迎えることになるはずの登頂時には、自分は押しも押されもせぬ前期高齢者というわけです。

軽くモモの昼食をとってからロッジを後にしてBCに上がると、ゲストの宿泊用のテントが立てられていました。2018年のロブチェBCやエベレストBCでは(別料金を支払わない限り)小さなドームテントに二人泊まりだったのに、今回は天井が高く照明まで用意された家型テントの個室使いで、十分な広さの前室がある上に床には足触りのよい人工芝が敷き詰められ、分厚いマットレスで寝床もしつらえられています。これにはびっくり、なんと贅沢なことでしょう。

少し高いところからBCを見渡してみると、母(Ama)の両腕に抱かれたようなこの穏やかな平地の中をほとんど埋め尽くすように黄色のテントが林立しており、そのところどころにタルチョがはためいています。これは登頂祈願のプジャが終了していることを意味しており、すでに相当数の登山者が頂上アタックに乗り出していることが窺えました。

15時を回ったところで、トレーニングのためにロッジのすぐ近くにある岩場に向かいました。アマ・ダブラムの登攀ルートにはC1の下から山頂までずっとフィックスロープが張られており、上り下りともこれを使うことになるので、ここでユマーリングなどの練習をしようというわけです。

この岩場は実に効率よく実践的な練習ができるようになっていて、フィックスロープに身を預けてのトラバース→懸垂下降(下半分は空中懸垂)→ユマーリングでぐるっと一周するようになっており、自分もチリンと優斗に指導を受けながらこのサーキットを5セット行いました。トラバースや懸垂下降はともかくユマーリングはほとんど経験がないため、出発前にAG社の近藤さんから直々に技術指導を受けていたのですが、そこで身につけた左右のアッセンダーとアブミを使う方法ではなく、一つのアッセンダーで身体を支え、空いた方の手で身体の前のロープをぐっと引き下げると同時にアッセンダーを素早く上へずらすシンプルなやり方をこの場で伝授されました。

こう書いてしまうと簡単そうですが、実際にやってみると最初はコツがつかめない上に、慣れない高所用登山靴(スポルティバのG2)を履いていることもあってうまく身体を上げることができず四苦八苦。それでも二人の若者やたまたま居合わせた他のパーティーのガイドからそれぞれアドバイスを得て取り組んでいるうちに①アッセンダー側(左手を使うことにしました)の足を高く上げて壁にベタ置きにする、②ロープを引き手(右手)に絡めてフリクションを得る、③身体を引き上げるときに腰を入れる、④アッセンダーの上側を手前に起こすように手首を使う、といったポイントが身につき、5セット目にはどうにかサマになってきました。

1時間あまりの練習を終えてBCに戻ると巨大なドーム型テントの枠組みが出来上がっており、これは翌日以降我々のダイニングテントとして使用されることになりましたが、今日のところはその向こうにあるやや小型のダイニングテントを利用します。

夕食の前に自分のテントに戻り、先ほどのトレーニングを踏まえてギアを整理した結果、登攀時に持参するギアは上の写真のようにごく限られた組合せとすることになりました(詳しくは〔こちら〕)。

夕食は具沢山のカレー(しかも純和風)と味噌汁。これは本当においしかった!そしてこのBCで食べたカレーが、私の65歳のバースデーディナー(お酒なし)となりました。

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