ゴーキョ・リ登頂
2025/11/14
△08:10 ダグナ → △11:15-14:35 ゴーキョ → △16:40-17:25 ゴーキョ・リ → △18:25 ゴーキョ
今日は午前中にゴズンパ氷河[1]を渡ってゴーキョに達し、午後は遅めに出発して「三つのピーク」のラストとなるゴーキョ・リ(5357m)で夕景色を眺めるという二つのミッションをこなさなければなりません。何気にがんばりどころです。

ロッジを出て、まずは上流方向に歩きます。出だしに立っていた掲示板には「Gokyo 2hour」と書かれていますが、本当かな?


歩きやすい道をしばらく歩いて、やがて坂道を登ってモレーン上に標柱が立つ場所に出ると、そこが氷河の横断ポイントでした。

ゴズンパ氷河はチョ・オユーの直下から流れ出してダグナのさらに下流まで続いており、その全長36kmはヒマラヤで最長です。ゴーキョはこの氷河の右岸側にあって、左岸側にあるダグナと比較するとやや上流に位置するため、氷河を渡るルートはこの右岸上流側を目指して斜めに付けられています。


ルートは明瞭な踏み跡によって認識でき、この時間帯は多くのトレッカーが行き来しているので迷う心配はなさそうですが、それにしてもアップダウンが繰り返され、しかも気温の上昇と共にパラパラと岩屑が崩れてくるところがあったりして気が抜けません。これでは、もしチョ・ラを越えた後にダグナに泊まらず引き続きゴーキョを目指していたら、心身とも相当に疲弊したことでしょう。

どうにか氷河を無事に渡りきって右岸のモレーン上から振り返ると、ずいぶん大勢のトレッカーがこの氷河を横断している様子を見ることができました。皆さんも、どうぞご無事で。

モレーンを越えて少し歩くとゴーキョが見えてきました。ここは人気の観光ポイントらしく、たくさんのロッジが建ち並んでいます。そしてその奥のもっこりとした山がゴーキョ・リ、左の湖は現地名ではDudh Pokhariですが、ゴズンパ氷河の右岸に連続する湖の下流側から数えて3番目の湖であるため、3rd Lakeということにもなります。たしかチョラツェを登ったアユミさんたちも、ナムチェバザールからまずここにやってきて高度順応し、それからチョラツェBCに向かっていたはずです。


荷物を置いた宿はFitzroy Inn Gokyo。我々登山者にとってはFitzroyと言うと条件反射的にパタゴニアを思い浮かべるので「なんで?」と疑問符が心の中に浮かんでしまいますが、その点には目をつぶれば、ダイニングからの湖の眺望がすばらしく厨房も立派、トイレも綺麗なきちんとしたロッジでした。


午後のゴーキョ・リ登山に向けて、勝負ランチはカラ・パタールのときと同じくピザとコーラ。これで自信をつけてしばらく休息してから、ゴーキョ・リに向かいました。

ロッジの近くから眺めてみると、ゴーキョ・リはなだらかで登りやすそうな姿をしています。ゴーキョから山頂までの標高差はざっと600mで、これはゴラクシェプからカラ・パタール山頂までの高距(約480m)より若干大きい値ですが、サンセットに間に合うように登ればいいので気は楽です。
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初めは土の上をジグザグに、ついで雪が出てきたらその中の踏み跡を辿り、2時間ほどをかけて氷化した雪と岩に覆われタルチョがはためく山頂に到着しました。

山頂には大勢の登山者がいて写真を撮ったり動画を撮ったりしていますが、どうやら美しいサンセットビューが見られそうな雲行きのおかげで皆一様にニコニコしています。私もここは長期戦のつもりで、リュックサックに詰めてきたダウンジャケットをがっちり着込み、手にはテムレス、足にはチェーンスパイクという完全装備で夕焼けに備えました。

これはエベレスト方面。真正面の奥に雲をかぶったエベレストがひときわ高く見えています。その右はヌプツェの向こうにローツェ、さらに右の遠くにマカルー。8000m峰が三つ、この中に納まっています。

これはやや下流方面。チョラツェ、タボチェと並んでその右に小さく尖った山頂を覗かせているのがアマ・ダブラム。さらに右はカンテガとタムセルクということになります。
夕日に染まる山々をぐるりと見回してみました。ここからでは北のチョ・オユーが最も大きく見えています。
こちらはタイムラプス。雲の動き、光の動き、そして空の色の変化に注目です。ことに日が落ちた後の空の美しい紫色は、初めて見る色彩でした。


日が落ちて徐々に暗くなり、他の登山者はみな下山してしまいました。我々もそろそろ下界に戻らなければ。


ゴーキョ・リの登山道は上から見ればはっきりしているので、ヘッドランプ頼みの夜行下山でも不安はありません。無事にロッジに帰還して、夕食はやはりダルバート。副菜の酸味のある根菜サラダがとても美味でした。そしてこの夕食の場で、我々と同じくこの日ゴズンパ氷河を越えてきたハイジさん一行とあらためて交流することができました。
脚注
- ^Ngozumpa glacier。これをソナムは「ナゴズンパ」と発音していましたが、ここでは一般的な表記に従い「ゴズンパ」とします。



