ブレヴァン〜プランプラ
2019/08/01
シャモニーの朝は、モン・ブランの向こう側から陽が差し込むことで始まります。
今日は良い一日になりそう……ではありますが、いきなりこの日から登りだすわけではありません。長旅の疲れをとり、時差ぼけを解消し、交通機関のパスや保険の手配をしなければなりません。
市内をちょっと歩いて土地勘を回復させてから、まずはマルチパスの購入のためにミディ展望台へ上がるロープウェイの駅に向かいます。
駅前は毎度おなじみの長蛇の列。マルチパスの購入自体はスムーズに完了しました[*]が、高度順応のために展望台に上がろうと思ってもこの人手では相当待たされそうです。実際、私の目の前で整理券を持った観光客が係員にその数字を見せたところ「2時間後だ」と言われていたので、ミディ展望台に上がるのは諦めることにしました。
代わりに向かった先は、エギュイ・ルージュ側の顕著な岩峰であるブレヴァンです。ちなみに「リフト使用時はマスク着用を推奨」とマルチパス購入時の注意書きに書いてありましたが、実際にゴンドラ内でマスクをしている人は皆無でした。
ゴンドラでプランプラに上がり、そこで乗り換えたロープウェイがブレヴァンに近づくと、正面壁には何組ものクライマーの姿が見えてきます。この光景に、2016年に「フリゾン・ロッシュ」をセキネくんと登ったときのことが懐かしく思い出されました。
ブレヴァンのてっぺんの展望台からの眺めは相変わらず抜群です。ここは標高2525mですから高度順応にはさして効果がないのですが、正面に見えるモン・ブランやシャモニー針峰群を眺めるだけでもモチベーションがアップします。
しばらく展望を楽しんでから、のんびりとプランプラへの道を歩いて下りました。途中のクラッグスではスポートクライミングを楽しむ人が大勢いました。シャモニーのガイドたちも、ここで腕を磨いてから開業したのに違いありません。
クラッグスから右に曲がってジグザグ道を下るようになると、正面に再びこの光景が広がります。確かに、全体的に雪が少なく黒っぽいような……。
道すがらに見上げる尖塔は「Clocher du Brévent」で、明日はこれに登ることになっています。
プランプラの近くにはパラグライダーの発進ポイントがあり、しばらく風待ちをした後に次々に飛び立っていきました。初めてここに来た時には目の前で阿鼻叫喚の騒ぎが起きたものですが、今回はそうしたこともなくいずれも順調です。しばらくフライトを眺めてからプランプラのテラスでホットドッグと果物とビールの昼食をとり、シャモニーの町へ下りました。
シャモニーに来たらとりあえず訪れておきたいのは、スネルスポーツです。
ひととおり見て回ってから、スポルティバのシューズの値段をチェックしてみました。
- TC Pro:125ユーロ(1ユーロ=120円として15,000円)
- ネパール キューブ GTX:399ユーロ(同47,880円)
- G5:459ユーロ(同55,080円)
やはり安い……。この旅の間に何か買おうかな。
そして、当地での山岳保険のためにフランス山岳会のオフィスで入会手続[*]を済ませてから合流したのは、韓国のガイドであるJeonさんです。今年の2月に韓国でのアイスクライミングでお世話になった彼とはあらかじめシャモニーで会いましょうという話をしており、1時間弱ほどコーヒーを飲みながらこちらでの活動状況や来年のアイスクライミングについての情報交換をしました。
こんな具合に、クライミングはしなくてもそれなりに忙しい一日を過ごして、シャモニーでの事実上の初日を終えました。