C1〜BC

2024/10/30

△06:40 C1 → △10:30 BC

この日は無風快晴。C1からBCへ下るだけの(本来であれば)容易な行程ですが、3日間ごくわずかしかカロリーを補給できていない身にはしんどい下降でした。

06:46

C1出発。フィックスロープにランヤードをセットしての歩きは、向こうの尾根を回り込むところまでのわずかな登りでも息が上がってしまいます。もしやこれは……シャリバテ?

07:56

フィックスロープが終わったところでギアを外すと、ガチャ類はチリンが、ピッケルは優斗が担いでくれることになりました。クライマー的には情けない限りですが、ここは素直に二人の「敬老の精神」に甘えます。

08:55

ダブルストックを使って下れるようになればもう安心。アマ・ダブラムの山頂はどんどん遠ざかり、今もそこを上り下りしているであろう他の登山者のことを思いやるゆとりも生まれてきます。

09:24

下り始めて3時間弱。再び高さを増したタボチェの前に、やっとBCが見えてきました。

09:50

ここまで下ればハイキングコース。我々と入れ替わりにC1へ向かう各国の登山者から「Congratulations!」「Wow! Good job!」と言ってもらえるのがうれしい。そしてBCを間近に見下ろす場所で、日本のワンダーズアドベンチャー(以下「WA社」)が募集した6人を率いて登ってくるチェパと行き合い、これからC1に上がるという彼らからも祝福を受けました。ありがとうございます。

10:29

帰ってまいりました。ほんの3日前に発ったばかりなのに、なんとも懐かしい。

コーラで乾杯!しばらく個人テントで休息した後のランチはリンゴを揚げたもので、ようやく身体が固形物を受け付けるようになったことに安堵しました。キッチンスタッフの陽気な若者が登頂を祝ってハグをしてくれ、食後少し時間をおいてすっかり身体が落ち着いた後には、気持ちよく湯を浴びたりキッチンテントを表敬訪問したりと自由で快適なBCライフを取り戻すことができました。

ところで話は前後しますが、ランチのためにダイニングテントに入ったとき、そこには先客がいました。それは先ほどBC近くの尾根の上ですれ違ったWA隊の一人であるA氏で、C1に向かう途中で呼吸の苦しさを覚えたためチェパと共に下山してきたのだそうです。さらに数時間後には同じWA隊のKさんもC1を見上げる場所まで達してから降りてきたのですが、話を聞くとA氏はこのツアーの少し前にコロナウイルスに感染し、さらにそれがKさんにも伝染して、二人とも呼吸器の状態が万全ではないままにこのBCへ上がることになってしまったのだそう。それでもKさんの方はまだ溌剌とした雰囲気だったのに対し、A氏は「昨日のプジャの後でビールを2本飲んだのもまずかった……」とすっかり意気消沈してしまっている様子が気の毒でした。

夕食は「量を半分にしてほしい」とリクエストしておいたところ、どういうわけか巨大コロッケを含むおかずは通常の量のままでお椀の中のご飯だけが半分になっているという謎の事態が発生しましたが、気を取り直してご飯は全部、コロッケは1個だけを平らげた後に、サプライズケーキが登場しました。実は、優斗から「AG隊は人数が少ないし、WA隊の人もいるので今回はケーキはありません」と言われていたのに、ふとした拍子にチリンの口から「ケーキ」という言葉が漏れたために(彼はあわてて「デザート」と言い直していましたが)サプライズではなくなっていたのですが、それでもやはりこれはうれしいものです。ニマ・タマンはじめBCスタッフたちが集まり、WA隊のお二人にも立ち会っていただいて、長らく憧れの対象だったアマ・ダブラムに登頂できた喜びと共にチリン・優斗の二人とBCスタッフ全員への感謝の言葉を述べてからケーキにナイフを入れると、ククリラムのお湯割りが一同に振る舞われてダイニングテント内は穏やかな祝福の空気に包まれました。

▲後日届いた登頂証明書。登頂日は10月29日ですが、発行日は12月22日とずいぶん日数がかかっています。そしてこれは事前に知っていたことですが、ネパール政府が公認しているアマ・ダブラムの標高は「6814m」です。