C1〜C2手前〜C1〜BC

2024/10/24

△07:00 C1 → △10:10-11:10 C2手前 → △12:30 C1 → △16:20 BC

夜中はピーボトルが大活躍。 水(湯)をたくさん飲んでたくさん排出するのは高度順応の王道なので、これはよい兆候です。それでも起床時の私のSpO2は60%まで下がっていて優斗の表情を曇らせましたが、深呼吸を繰り返すと80%に上がってとりあえず安全レベル。とは言うもののやはり朝食のヌードルスープはあまり食べられず、エネルギー補給が不十分のままこの日の行動にかかることになりました。

ちなみに私が残した食事は(昨夜のパスタも今朝のヌードルも)全て優斗が片付けてくれています。一人前の登山者であるためにはまず旺盛な食欲と強靭な胃腸が必要であるということを、彼は身をもって示してくれているようでした。

さて、この日はC2まで上がり、そこでしばらく滞在して薄い空気に身体を慣らしてからC1経由でBCに戻ることになっています。そしてこのC1とC2の間が、このルートの中では最も登攀的(テクニカル)な要素をはらむ区間です。

フィックスロープに体重を預けてのトラバース。

スノーリッジ。そしてその先の右側に見えている高さ20mほどの強傾斜の岩壁が……。

C2直下にあってイエロータワーと呼ばれる難所です。フリーで登れば5.9くらい?(途中にはハンガーボルトやピトンもあります)と言われるここにももちろんフィックスロープがあり、出だしを数メートル上がってから壁の真ん中に向かって振り子で移動した後にユマーリングで直上するのですが、リュックサックを背負い高所用登山靴を履いてのこの高度でのユマーリングはそこそこ大変です。

そこで先に登ったチリンが上からロープを垂らし、その先に付けたカラビナを私のアッセンダーにセットして引き上げる作戦がとられました。これは私の体重そのものを引き上げるためではなく、私が(ユマーリングではなく)フリークライミングで高さを稼ぐのに合わせてチリンがアッセンダーを引き上げてくれるトップロープ形式で、体重を預けたくなったときにはチリンに支えてもらうのではなくアッセンダーにぶら下がることになるわけです。

そうしたやり方でこの壁の下から3分の2までは登れるものの、最後にこのテラスに乗り上がる手前のセクションはかぶり気味でフリーで登るのは難しかったため、そこではチリンの腕力に頼ることになりました。チリン、ありがとう!

イエロータワーを登り切った先にはC2のテントが見えていましたが、今日はここまで。安定した場所に腰を落ち着けて、1時間弱をそこで過ごしてから下りにかかりました。

それにしても、真っ青な空の下に広がるこの絶景はどうでしょう。登ってきた鋭い南西稜、見上げる山頂、周囲の山々、イエロータワーを登り切れず往生している大荷物のシェルパ。全てが非日常の世界です。

下りは懸垂下降ですいすい……というわけにはいかず、登る者と下る者とがフィックスロープを譲り合って行き交うのでそれなりに時間がかかります。それでも登りに3時間をかけたところを80分で下って、マット類と高所用ダウンとをC1のテント内にデポしたままさらに下降を継続しました。

ガレ場地帯を通り抜けてストックが使えるようになればもう安心。実はC1の下で一瞬嘔吐感にとらわれたのですが、幸い重症にはならずにBCまで帰り着くことができました。

この日BCスタッフが作ってくれた夕食は、味濃いめのスキヤキでした。お肉のボリューム感もさることながら椎茸・白菜・豆腐がふんだんに使われているのがうれしく、食欲は回復しないながらも食べられるだけ食べて、もう満腹だ(平常ペースと比較すると腹五分目くらいですが)と寛いでいたところ、このダイニングテントの中に前触れなく入ってきたのは明日のプジャを取り仕切ってくださるラマ僧でした。我々の顔を見て「寒いね」(←日本語)と挨拶したラマ僧は、使途不明の粉やらなにやらを取り出して謎の調合作業に余念がなく、その邪魔をしてはならないと思った我々は頃合いを見計らって個人用テントに引き上げました。

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