ナムチェバザール〜クンデ〜クムジュン
2024/10/17
△08:25 ナムチェバザール → △10:15-11:15 クンデ → △12:00-25 ヒラリー・メモリアル・ビューポイント → △12:50 クンデ → △13:25 クムジュン
今日の行程はナムチェバザールからクムジュンまで。直線距離にするとさしたることはないものの、この旅の中で初めて4000mを超える高度を経験することになる節目の日です。
早朝は霧に覆われていたナムチェバザールの街並みが、7時すぎには徐々に見えるようになって、対岸の山の様子もはっきり見通せるようになりました。今日も晴れるかな?
しかし、ミートモモとブラックティー(カラ・チャ)の朝食をとって外に出た8時半頃には、あたりは再びガスに包まれてしまっていました。それでも我々は、カトマンズのクマリ様のように窓から我々を見下ろすおかみさんに見送られて予定のコースに繰り出していきました。
ナムチェバザールの背後の山道をどんどん登り、途中から道を左に外れて妙に平らな場所を歩きましたが、これがなんとシャンボチェ空港の滑走路(にあたる場所)です。1971年に開かれたこの空港は、かつてはカトマンズとの間に運行便があったものの、現在では定期便は設定されていないそう。それでも滑走路上にはところどころに長い轍のようなものがありましたから、たまには飛行機が飛来しているのでしょうか?
やがて滑走路の向こう側に列をなして歩く人々の姿がぼんやりと浮かび上がってきました。チリンの説明によれば、この日はカトマンズの高僧がクンデのゴンパ(仏教寺院)に来ており、この集団はゴンパへ向かう人の列なのだそう。それにしてはまるでハイキングのように楽しげで賑やかなのは、この集団の過半が女性だからかもしれません。
緩やかな峠を越えていったんクンデの村に降りて、ロッジで軽食をとりながら1時間ほど小休止。
ついでロッジに荷物を預け、クンデの西にクンビラから南へと降りてきている尾根の末端にあるビューポイントを目指します。見れば尾根の斜面にはくだんのゴンパがあり、そこで高僧が唱えていると思われるありがたいお経がスピーカーを通じて大音量で村中に響き渡っていました。
ゴンパの脇を通って左(南)へと緩やかに高さを上げる山道を歩いていくと、途中でほんの一瞬だけアマ・ダブラムの姿が見えて思わず興奮してしまいましたが、その姿はすぐに雲の中に隠れてしまい、少々落胆しつつ歩き続けるとすぐにヒラリー・メモリアル・ビューポイントに到着しました。
それでも見下ろすと、ナムチェバザールの街並みとシャンボチェ空港の滑走路が意外なほどに下方遠くに見えていて、いつの間にかそこそこ標高を上げていたことを実感しました。この展望台がある場所はちょうど標高4000mを越えたところですから、ナムチェバザール(標高3400-3500m)から500m以上高さを稼いでいる計算です。
ここがヒラリー・メモリアル・ビューポイントと呼ばれているのは、2018年の記事にも記したようにエベレスト初登頂者であるエドモンド・ヒラリーとカトマンズでの事故で命を失った愛妻ルイス、次女ベリンダの3人を記念するモニュメントが立っているからです。ここからは晴れていれば息を呑むような眺めが見られるのですが、この日の天気では如何ともしようがありません。高度順応効果を期待してしばらくここに滞在した後、クンデへと下ることにしました。
元来た道をクンデへと下ると、ゴンパでは相変わらずお経を唱える声が流され続けており、そしてよそ行きの服装になってゴンパを目指す人の姿がこの時間帯になっても少なからず見受けられました。
荷物を回収してから隣村であるクムジュンへ向かう途中、道の右手に気になる岩壁が立っていることに気がつきました。気になるのも道理で、よく見るとハンガーボルトが打ってあってここにスポートルートが拓かれていることがわかりました。見たところでは左右2課題があり、オブザベーションをしてみた右側のルートは薄かぶりながらホールド豊富で、たぶん5.9か5.10aという感じ。ただし1ピン目が遠くクリップ時のホールドが悪そうですし、そもそもここは富士山の山頂と同じくらいの標高ですから、いきなりここに連れてこられて登れと言われたら簡単ではなさそうです。
こんな具合に寄り道をしたものの、クムジュンのNamaste Lodgeに着いたのは13時半頃と早い時刻だったので以前AG隊の仲間たちとくつろいだベーカリーに遊びに行こうと考えたのですが、ポーターのカンツァが偵察してくれたところではベーカリーは臨時閉店中。それどころかこの宿の主人も出払っていて、たまたまそこにいた近所の人(?)がお茶などを出してくれたのですが、それというのもやはりゴンパでの法要のせいでした。しかたなくチリンが「近所の人」の手を借りて作ってくれたふかしジャガイモをおやつ代わりにして午後を過ごし、遅い時刻になって戻ってきたロッジの主人が作ってくれた「クムジュンスタイルピザ」(早い話がミックスピザ)を夕食にして、この日も早々に部屋に引き上げました。それにしても、この部屋のピンクで統一されたカラーリングとアバンギャルドな壁のイラストや「武士道」の文字はネパール人の趣味とは思えない(部屋自体は快適だった)のですが、いったいどうしてこういう部屋が生まれたのか不思議でなりません。
なお、マンタリでずっと足止めをくらっているBCスタッフは今日も飛ぶことができず、ついに空路を諦めて陸路で入れるところまで入り、明日にはトレッキング道をパクディンまで進むことになりました。彼らの場合はとにかくBCを構築するというミッションがあるので彼ら自身もGH社も全力をあげて前に進もうとしてくれますが、単なるトレッキング目的でエベレスト街道を目指した観光客は少なからず計画中止・行き先変更を余儀なくされただろうことを考えると、我々が現時点でこのクムジュンにいることがいかに幸運かということが身にしみて実感されます。ありがたいことです。