塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

帰国

2020/01/03

朝6時半にロビーに降りるとすぐに迎えがやってきて、いくつかのホテルを回りながら日本人客をピックアップして空港へ連れて行ってくれました。

実家へのお土産はNZ特産のマヌカハニーです。特別な規制の下に管理されたミツバチによってマヌカの花から集められたマヌカハニーは、そのまろやかな味わいもさることながら高い抗菌活性力が自慢。そのためかそこそこのお値段がするものなので、小さい瓶入りのリーズナブルなお値段のものをセレクトしました。

滑走路上では雨に打たれていた飛行機も、雲の上に出てしまえば青空の下。こうして、短い日数ながら楽しく充実していたNZ訪問を終えました。

参考情報

装備

NZは日本に比べて緯度が高く、さらに変わりやすい天気という気象条件もあって、トランピングの際の装備に悩みます。Ultimate Hikesでは次の持ち物チェックリストを提供していましたがこれはフルスペックの装備リストで、自分で運ぶことを考えれば簡素化するに越したことはありません。そこで、以下に最低限これは必要だと私が思うものを太字で示してみました。

歩行用
トレッキング用ブーツ / 保温性のある肌着上下 / フリースやメリノウールなどの上着 / レインジャケット / 長袖の上着 / Tシャツ / 日よけの帽子、防寒用の帽子、手袋 / トレッキング用短パンまたはズボン。速乾性のあるもの(ジーンズ不可) / メリノウール等のトレッキング用靴下2足 / 日焼け止め、虫除け / 水筒またはペットボトル(1リットル分) / カメラ / クレジットカードまたは現金
ロッジにて
シャツや長袖 / フリースやウールの上着 / 軽量のズボン / 軽量の履物 / 寝間着 / 洗面用具(石鹸・シャンプー・コンディショナー完備) / 下着
その他
登山用ストック / 防水パンツ / 登山用スパッツ / 水着 / 靴ひもの予備 / ジプロックなどの防水袋
その他役に立つアイテム
フットフリース / テーピング / リップクリーム / 耳栓 / ヘッドランプ、もしくは小さな懐中電灯
無料貸し出しアイテム
バックパック防水用ライナー(40リットル / 約2キロ) / レインジャケット(約500g)男女兼用ワンサイズ / 綿のスリープシーツ(約500g)相部屋ご利用の方のみ

このコースを歩こうとする人なら登山の経験を一切持っていないということは考えにくいので、基本的には手持ちの縦走用装備で歩くことができますが、次の点には留意する必要があります。

  • 夏ではあってもかなり気温が下がることがあります。このため防寒のための衣類は省略できませんし、雨具上下ももちろん必携です。ガイドさんたちは写真のようにTシャツ・短パンで通していましたが、これを体温低めの日本人が真似するのは危険です。
  • 社交の場でもあるロッジの中では、登山中とは別の清潔な服装とすることが求められます(正装である必要はもちろんありません)。特に登山靴でロビーやダイニングに入ることは明示的に禁じられているので、別途サンダルや軽い靴を持参しなければなりません。
  • 逆に登山中の衣類は、後述の通り洗濯と乾燥ができるので多く持つ必要はありません。ロッジに入ったらすぐにシャワーを浴びてロッジ用の衣類に着替え、登山用衣類の洗濯をして乾燥室に放り込めば、夕食を終える頃には洗濯物はすべて乾いています。

なお、上記のリストはガイドたちが緊急用装備を運んでくれていることを前提としていることに留意。個人ハイカーとして、下界との通信手段がない2泊3日のこのルートを歩こうとするときは、セルフレスキューを念頭に必要な医薬品を持参する必要があります。

ロッジ

このツアーでは、Ultimate Hikesのプライベートロッジに宿泊しました。マッケンジー湖ロッジとルートバーン滝ロッジです。いずれもほぼ同等の施設を整えているこれらのロッジの様子を、以下に記してみます。

マッケンジー湖ロッジ
マッケンジー湖ロッジはディバイド方面から歩いてくるとこの辺りで最初に出会う建物がそれで、標識には「Routeburn Walks Hut Guided walkers only」と書かれていました(そこから1分先には「Mackenzie Hut Independent walkers」が建っています)。
ロッジのメイン棟の入り口にはガイドの名前や食事・出発の時刻などが記されており、これを眺めていたところロッジのスタッフが出てきて名前を確認した上で宿泊棟に案内してくれました。
広くて清潔な部屋の中には大きなベッド、寝具完備。毛布の上に乗っている青いものは個人用の筒形のシーツで、その中に入って毛布を掛けて寝る仕組みです。消灯時間までは電源もとれるので、カメラやスマートフォンの充電も可能。もっとも電波は通じませんので、電話を使う機会はないはずです。
シャワールームも素晴らしく、シャンプーやボディソープも完備されていますが、この水をどのように処理しているのか不思議です。環境保全に力を入れているNZのことですから貯めた上で下界に降ろしているのだと思うのですが、その手間とコストは相当なものになるのではないでしょうか。ともあれ、熱いお湯を浴びてさっぱりしたら、服装も身ぎれいなものにしてダイニングに繰り出すことになります。
ディナーはこんな感じ。メインディッシュをあらかじめビーフ / チキン / ベジタリアン向け三種類の中から選んでおく仕組みですが、ここはどこのホテル?という感じです。
洗濯も可能。洗い場で洗ってローラーに挟んで水を絞り、超強力な乾燥機が熱風を吹き出し続けている乾燥室に放り込むと、ほんの1時間ほどでたいていのものは乾いてしまいます。
ルートバーン滝ロッジ
ルートバーン滝の真下、ルートバーンフラットへと続く斜面の途中に建てられたこのロッジも、ハリス・サドルから歩いてきて最初に出てくる建物です。
地形に沿って立体的な作りのロッジは心そそられる外観ですが、渡り廊下になっているエントランスのThis lodge is the private property of Ultimate Hikesの文字が、一般ピープルの接近を拒んでいるようです。
入り口にはウェルカムドリンク&フルーツ、部屋はまたしてもゴージャスで、この部屋に登山靴のまま入ろうという気にはなれません。
シャワールームや洗面設備の立派さはマッケンジー湖ロッジと同様です。この日は前日より2時間ほど早くロッジに着いたので、先に書いた通りシャワーを浴びてからディナーまでの間にワインを飲みながら他の参加者の皆さんと歓談の時間を持つことができました。
またまたゴージャスなディナー。私のディナーはラム肉のチョップで、サーモンの方は相方のもの。それぞれかなりのボリュームがあって、日本人に限らず食べきれない客が多かったのですが、私は前日もこの日もすべて平らげ、同行の日本人の奥様から「完食王子」の称号を頂戴しました。

実は、我々のトランピングの1日前にトモミさん・ジュンコさん・エリーの3人の娘たちが同じルートバーン・トラックを歩いていたのですが、彼女たちは上述の「Indipendent walker」で、初日の宿はハウデン湖ハットでシュラフ泊、2日目はルートバーンフラットのキャンプサイトで幕営。鰹だしをかけただけのご飯などでしのいでいた彼女たちにとっては「Guided walkers only」のロッジが「人生の勝者たちの宿」に見えたそうです。

中でもジュンコさんは「勝者の領域」を偵察すべくルートバーン滝ロッジに果敢に接近を試みたものの、スタッフに追い返されてしまったとのこと。そこで、その探究心に報いるべくワインやディナーの写真をLINEで送ってあげたところ……。

この景色の中でのテント泊も贅沢な楽しみだとは思うのですが、さすがに「勝者のディナー」には勝てないですね!

お酒

クイーンズタウンで出迎えてくれた現地の案内役の車に貼られていたのが、当地で作られている日本酒「全黒」のシールでした。名前の由来はもちろんラグビーチーム・オールブラックスですが、大変そそられたものの旅の途中で買う機会を得られず、残念な思いをしました。ところが帰国してから調べてみると、日本でも販売されています。さっそく取り寄せて飲んでみるつもりです。

NZと言えばワインですが、ルートバーン滝ロッジで飲んだホークスヘッドのピノ・グリが抜群のおいしさでした。ワインのおいしさを説明する語彙をあまり持たないのですが、適度な酸味のフルーティーさが素晴らしく、相方と2人であっという間に1本が空いてしまいました。これも帰りに空港で売っていないかと探したのですが見つかりませんでした。機会があればまた飲んでみたいものです。

水害

我々が帰国して1カ月がたった後の2月上旬に、現地では3日間で3カ月分の雨が降りルートバーン・トラックも被害を受けました。特にハウデン湖ハットは土砂崩れによって甚大なダメージを受けたようで、その後しばらくの間ルートは閉鎖されていましたが、シーズン終わり近くになってルートバーン・シェルターからマッケンジー湖ヒュッテまでを3泊4日で往復する「Routeburn Return」が設定されました。

なるほど、確かにこれはルートバーン・トラックの最も良いところをカバーしていますし、天候のせいで展望に恵まれないリスクも同じところを二度通ることによってリカバーできる可能性が生じるので、ありと言えばありかもしれません。

とはいえ、やはり端から端まで歩き通したことで得られる充実感は何物にも替えがたいもの。来シーズンにはルートが全部開通していることを祈ります。