バガン I (Balloons Over Bagan)

2009/12/31 (1)

この日は今回の旅のメインイベント「Balloons Over Bagan」から。気球に乗ってバガン平原を見下ろすショートトリップです。

午前6時にホテルの前にやってきたバスは我々をピックアップし、さらにいくつかのホテルを回って各国の観光客たちを拾い集めてから、離陸場所になっている広いグラウンドのようなところに向かいます。そこに待っていたのは、全部で4機の気球と大勢の観光客、それと同じくらいの数のスタッフたち。一つの気球にパイロット1人とお客8人が乗るようになっていて、用意されていたコーヒーを飲む暇もないままにパイロットとお客のマッチングが行われて、私とマーマーさんはイアンという名前の白人パイロットが操縦する一番左の気球に割り当てられました。

イアンが「皆、英語はわかるかな?」と確認してから飛行中や着陸時の注意事項を説明している間に、ミャンマー人のスタッフたちは巨大な扇風機のようなもので気球内に空気を送り込み、ある程度膨らんだところで炎を立てて熱風を送り込みました。そのうち気球が立ち上がり始め、横になっていたゴンドラが起き上がったところで、イアンの指示により客たちはゴンドラに搭乗します。ゴンドラの壁に空いた四角い小窓を梯子のように使って乗り上がると、ゴンドラの中は中央にガスボンベなどを積んだパイロット用の区画、そして四つの角に2人ずつ入れる客用の区画に仕切られていました。イアンは間欠的にガスの炎を立てて浮力を高めていくのですが、マーマーさんはそのエンジン(?)の轟音が怖いらしく、ゴーッという音を聞くたびに耳を押さえてしまっています。やがて、イアンが気球を固定していたロープのクリップを外すと、地上スタッフの「バイバイ!」という声に送られて気球はゆっくりと地上を離れました。

気球は、ニャウンウーの町を眼下に見下ろし、夜明けの太陽と美しい造形の寺院群を横目に見ながら高度を上げていきます。そして南西方面、すなわちバガンの寺院群の中心地を目指して意外なスピードで飛行すると、高度をぐんぐん上げてバガン平原の全体を見渡せるところまで達し、ぐるりと360度回転しました。水平飛行や高度の調節はまだわかりますが、ゴンドラの向きを自在に変えられるというのはどうやっているのか不思議です。

時折イアンがバガンの地勢や寺院の名前を解説するうちに、気球同士の立体交差といった荒技(?)まで披露されて、乗客は大喜び。

4機の気球は編隊を組んで飛行を続けていましたが、40分ほども飛んだ頃から無線で地上と着陸地点についての打合せを始めました。

まず僚機がかなり早いタイミングで着陸し、我々の乗った気球も徐々に高度を下げて前方の広場を目指していることがはっきりしてきました。見れば地上係員が着陸地点に先乗りして散開しており、イアンは乗客に対しカメラをしまってゴンドラの中にしゃがむようにと指示をして着陸態勢に入りました。

ゴンドラが着地する軽い衝撃があり、そして地上係員がゴンドラを押さえ込むようにすると、イアンの操作で上部に排気口が開いて気球はゆっくりと力を失い、倒れこんでいきます。「さあ、シャンパンを!」というイアンの指示を受けてゴンドラを降りると、そこにやってきていたバスの前にはテーブルや椅子が並べられ、シャンパンやパン、マンゴーやバナナが振る舞われていました。満ち足りた気分で乾杯をするうちに、イアンは一人一人に「Balloon Flight Certificate」と書かれた証明書を渡してくれましたが、「気球を操縦できるというCertificationじゃないから」とジョークも飛んで一同大笑いでした。

このフライトは今回の旅のメインイベントでしたが、気象条件にも恵まれて素晴らしい展望を堪能することができました。料金は270USドル(ガイドのマーマーさんの分は240USドル)と決して安くはない値段でしたが、それだけの価値のある楽しいフライトにとても満足しました。なお、下の写真(別料金=確か20USドル)は飛行中にイアンがロープでするすると浮かせたデジカメで撮った写真で、シャッターはリモコン操作。籐のフォトフレーム付きで、シャンパンパーティーの席で申し込むと後でホテルに届けられていました。

▲上の画像をクリックすると、Balloons Over Baganの様子を見られます。