帰国

2022/08/11

長かった旅もいよいよ終わり。シャモニーを離れる日がやってきました。

ホテルの部屋から見上げるモン・ブランも、これが見納めです。この旅の中であの頂上に立ちたかったのですが、自然環境を敵に回しては勝ち目がありません。

宿泊中ずっと親切にしてくれたマダムに厚く御礼を言ってホテルの裏手に回り、やがてやってきたシャトルバスに乗ってジュネーヴを目指します。いつもならそのまま飛行機に乗って一路成田へ……となるところですが、今年はそういうわけにはいきません。日本に入国する前にPCR検査を受けて陰性証明を取得しなければならないからです。

というわけでジュネーヴ空港から列車に乗って1駅のジュネーヴ駅に移動し、さらにトラム(路面電車)で1駅。

トラムから降りた目の前にEspace Labがありました。あらかじめ日本を発つ前に予約をしてあった時刻より30分ほど早く着きましたが、どうやらこの日はヒマだったらしく、快く検査を早めてくれました。検査は鼻腔に綿棒を差し入れて検体を採取するアレですが、特に痛くもなくあっという間に終わり。しかしこの検査に390CHFスイスフランも取られるので、懐の方はかなり痛みます。

ともあれ来た道を空港駅まで戻り、空港近くのホテルにチェックイン。今日はここで1泊して、検査結果が陰性であれば翌朝のフライトで日本を目指すことになります。

PCR検査の値段が高かったのは2時間で結果が出る「Express」を申し込んでいたからですが、1時間半ほどで「結果が出た」というメールが入りました。さっそくリンク先を確認してみると、そこには燦然と輝く「Négatif」の緑文字。

このEspace Labのウェブサイトから陰性証明書をダウンロードし、さらにあらかじめiPhoneにインストールしてあった接種証明書アプリから予防接種証明書もダウンロードして準備完了。ここから入国時の検疫手続の一部を事前にすませる「ファストトラック」のためにMySOS Webにこれらを登録していきます。

厚生労働省の入国者健康確認センターのウェブサイトにアクセスしてどの地域からの入国かを選ぶのが最初の分岐で、欧州→スイスと入れると「あなたは空港での検査は不要」と表示されてMySOS Webへのリンクが現れます。ここからメールアドレスを登録し所定の情報を入力してアカウントを作り、質問票、誓約書、ワクチン接種証明書、陰性証明書(72時間以内)をそれぞれ入力・登録していくと、以下のように「審査中」のステータスになりました。

ここまで終えて、後は果報を寝て待つか……と思っていたら3時間もたたずに検疫手続確認センターなるところから「ワクチン接種証明書が確認された」というメールが入りました。仕事が早い!というかこちらが19時なので日本では午前2時だから24時間対応なのかと感心していると、その3分後に今度はこの検査証明書は必要事項が確認できない、もしくは必要事項を満たしていないため無効ですというメール。えっ、なんで?と驚いてメールの内容をよく読むと、先に送った陰性証明書には「採取検体の種類」が書かれていなかったことがわかりました。

実はEspace Labの陰性証明書は3種類あり、仏文のものは除外して英文の2種類のうち文字数が多く御利益がありそうな証明書を何の気なしに登録してしまったのですが、もう一つのスカスカの証明書の方には採取検体の種類Kind of sampleが明記されていて(上の画像の赤線を引いた部分)こちらを送らなければならなかったのでした。そのことに気付いてすぐに証明書を登録し直したところ、さらに2時間後に無事に確認を受けることができました。

iPhoneにインストールしてあるMySOSアプリはMySOS Webと連動しており、審査ステータスが視覚的に確認できます。審査中の段階では赤だったものが、まず接種証明書の確認を受けられた段階で黄色に変わり、そして陰性証明書の確認を受けて青。これでやっと枕を高くして眠れるようになりました。

2022/08/12-13

6時半にホテルのシャトルバスに乗って空港に移動し、チェックイン。

あらかじめスイスエアーからショートメッセージで告知されていた通りチェックインカウンターで陰性証明書の提示を求められましたが、ここでもMySOS Webで受け付けてもらえた方の証明書が有効で、iPhoneの画面を提示するだけでOKでした。

これだけのことかと思いきや、チューリッヒから成田へ向かう乗継便のゲートの近くに臨時のパスポート・コントロールができており、そこで搭乗券・パスポート・陰性証明書(iPhoneの画面で可)・MySOSアプリの画面のチェックを受けた上で搭乗券の青いスタンプを捺してもらわないと搭乗できないという最後の関門がありました。私の場合は上記の通りMySOSがブルーになっていたので確認はさっさと終わりましたが、何人かがその場であたふたしたり違うカウンターへ行かされたりしていたので、やはり律儀にMySOSの手続を済ませておくに越したことはないようです。

こうして無事に乗り込んだ成田行きのトリプルセブンでは搭乗時にマスクが渡されてすぐ着用するよう促され、日本に帰るのだということを実感しました。ざっと見て4割行かないくらいの乗客数でゆったり座り、食べて寝てたまに映画を観てで時間をつぶしているうちに、今度はロシアの南を通って東を目指す航路で日本に向かいました。離陸前の天気予報では成田空港に到着する頃に関東地方に上陸する台風とかち合う予定だったのでやきもきしましたが、台風の動きが半日分ほど遅くなったおかげで、搭乗機はさしたる揺れもないままに13時間余りのフライトで成田空港に着陸することができました。