塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

ガイアンの岩場

2015/08/08

休養日を1日入れても私の左足親指の突き指は簡単には治らず、クライミングシューズで圧迫すると痛くて飛び上がりそうになってしまいます。それに午後からthunderstormの予報であることとから、この日は近場にあるガイアンの岩場へ行くことにしました。この岩場はシャモニーのガイド祭りが行われる場所として有名で、せっかくシャモニーに滞在するなら一度は実際に訪れてみたいと思っていたところです。

バス停から見上げる空は相変わらずクリアー。これで本当に午後に雷雨になるのか?そしてバス停のあるパルマ広場では、土曜日毎に開催されるという青空市場の準備が進められていました。シャモニーに来て数日たった頃からすっかり曜日の感覚がなくなっていましたが、これでようやく今日が週末なのだということを実感できました。

バスの到着までしばらくかかりそうだったので、散歩がてら歩いてガイアンを目指すことにしました。私は適当に「こっちだろう」とずんずんブレヴァンの方を目指したのですが、現場監督氏が通りがかりの人に道を尋ねると「下に降りて右だ」というご託宣だったので、バス通りに戻って「(モン・ブランに向かって)右」を目指しました。

まだ8時すぎだというのに炎天下の道を歩くこと30分余り、ガイアンLes Gaillands(フランス語の発音は「ギャイヨン」に近い)のバス停のすぐ先が目指す岩場でした。

なかなか立派なこの岩壁は現場監督氏の表現を借りれば「三ツ峠をコンパクトにしたよう」ですが、思ったよりも高さがあり、2から3ピッチ程度のマルチピッチもできそうです。

岩場手前の奥に受付のようなところがあり、ここでギアを借りることもできる模様。ちびっこの姿が目立ちます。

現場監督氏、6aの岩塔を登るの図。

私は左足がクライミングシューズを受け付けない状態なので、トレランシューズのままアルパイングレードIII級の凹角を登ります。

手元にトポがないので見た目に手頃そうなのを選んで、現場監督氏は4本、私は3本。ルートによっては50mロープではロワーダウンできない長さがあるので要注意です。我々はダブルロープを使ったので、そうしたときは懸垂下降しました。

受付でちびっこの姿が目立つと書きましたが、左上の写真の子はリードをしており、右上の写真の子はトップロープながらなぜか両手にテニスボールを持って登っていました。これは足置きの練習なのだろうと思います。

岩場はさらに左に少し離れたところにもあってこちらは広沢寺弁天岩と見た目が似ており、子供というより赤ん坊と言った方がいいような子も登っていました。そして、このガイアンの岩場は単にクライミングのゲレンデというだけではありません。まず、気持ちの良い小さな池の向こうにはモン・ブランの姿が立派です。

アクロ・パークと称して子供たちや少年少女たちがワイヤーにぶら下がって森の中を飛び回ったかと思えば、遺跡のような石組みもあって興味をそそります。

自然とアクティブに親しむさまざまなイベントが用意された場所が、このガイアンの岩場でした。

もちろん岩壁の方も、老若男女さまざまな人たちがそれぞれの力量に合わせてクライミングを楽しんでいました。

左上はユマーリングの練習、右上は懸垂下降の練習……ではなく、ルートが長いために50mロープではロワーダウンができないので懸垂下降2ピッチで下っているところです。なるほど、スネルスポーツにやたらと長いロープが売られていた訳もこれで納得です。

それにしても暑い!リュックサックのところに置いてあったスポーツドリンクはあっという間にお湯になってしまいました。どうやらここには、涼しい時間帯か涼しい季節に来るべきだったようです。そんなわけで適度なところでさっさと切り上げて、バスでシャモニー中心街へ戻りました。

パルマ広場に戻ってみれば、青空市場が盛況です。

一通り冷やかして見て回ってからホテルに戻ってシャワーを浴び、ビールで乾杯しました。しかし、易しいルートとは言え足指を圧迫したのは良くなかったらしく、親指は鈍痛と共に再び腫れてきてしまいました。このままこの足を放置したのでは今後の登攀に差し支えることは必定なので、SUPER Uの地階で針(フランス語で「aiguilles」)を買ってきて、爪の下の血豆の血抜きを行いました。果たしてこれが功を奏してくれるかどうか。

17時頃に観光案内所に出向き、これまたシャモニーを訪れる日本人の間では有名な日本語案内のベルナデットさんの前に立ったところ、とてもにこやかな笑顔で迎えてくれました。さっそく、翌週火曜日の夜のトリノ小屋の予約をお願いしてみると、快く引き受けてくれてその場で小屋に電話をしてくれました。食事つき・寝具付きで一人€55、クレジットカードOK。なんて簡単で親切なんだろう!ありがとう、ベルナデットさん。心からの感謝の言葉を述べて観光案内所の外に出ると空の上には予報通り黒雲が広がっており、その1時間後には久しぶりの雨が降り始めました。