パッシーのヴィア・フェラータ

2014/08/02

シャモニーでの最終日。前夜21時すぎに長岡ガイドにメールをもらったときに爆睡していたためにこちらからの返事が午前1時すぎとなってしまいましたが、朝一番のメールのやりとりで無事にこの日のアクティビティをすり合わせることができました。それは、ヴィア・フェラータ。イタリア語で「鉄の道」という意味を持ち(そういえば鉄の元素記号はFeだということを思い出しました)、第一次大戦時にドロミテの山中に設けられた軍事施設間をワイヤーや梯子などでつないでいたものがスポーツ化したもののようです。鉄のワイヤーや手すり、足場などを組み合わせて安全を確保した岩登りと思えばよく、ハーネスに取り付けたランヤード(2本の短いロープの先にそれぞれ大型のカラビナを着けたもの)を使って常時セルフビレイをとっている状態を維持するのがポイントです。

チェックアウトの手続を済ませ不要な荷物をフロントに預かってもらってから、シャモニーから車で30分ほどのパッシーの山中へ向かいます。ところがここに来るのは長岡ガイドも久しぶりだったらしく、途中で人に道を聞きながらなんとか到着しました。私は何か施設があってそこでお金を払って利用するのかと思っていたのですが、単に注意書きの看板が立っているだけで、小さな駐車スペースからそのまま山道に入っていきます。

汗が吹き出す程の速さで山道を進む長岡ガイド、引き離されまいと歯を食いしばるクライアントの私。なんでこんなに急ぐのか?と思わないでもありませんでしたが(笑)、よいウォーミングアップになりました。

このコースは岩壁を右から左へトラバースしながら徐々に高度を上げていく設定になっており、その途中にはスリリングな仕掛けがところどころになされています。そして、ほっと一息ついて振り向けば、サン=ジェルヴェ=レ=ヴァンの町の向こうにモン・ブランが見えていました。

ワイヤーの橋。セルフビレイ用のワイヤーの他に手を掛けるワイヤーが左右に1本ずつ、足を乗せるワイヤーが1本。

写真を撮ろうと片手を離すと、とたんにバランスが崩れて身体が傾きます。これは怖い……。

しばらく進んでから振り返ると後続の男女3人組もワイヤー橋のところに達していましたが、どうやら男2人は同時にワイヤー橋に乗り、しかも1人が橋をわざと揺らしているようでした。若いって、恐ろしい……。

木の1本橋には手すりはなく、セルフビレイ用の1本のワイヤーに体重を預け気味にして微妙にバランスをとって渡ります。この木材はしっかりしたものではありましたが、心なしか体重を乗せるとしなっているような気がして、これまたスリル満点です。

しかし、ヴィア・フェラータの面白みはそうしたスリルにあるのではなく、いかにバランス良く登って腕力の消耗を防ぐか、つまりはクライミングの極意とまったく同じです。

実は、最初に長岡ガイドからヴィア・フェラータのことを聞かされたときに「ヴィア・フェラータなんて、遊園地の遊びと変わらないのでは?」などと思ってしまいましたが、やってみれば大違い。身体も使うし頭も使う、楽しくて奥が深いスポーツでした。

後続のきれいなお姉さん。カメラを向けると「ふふふ」と笑ってポーズをとってくれました。

岩場のトラバースを終えて森の中に入っても、完全に安全な場所まではワイヤーがつながっています。そして終了点からは、トラバースしてきた崖の上の歩きやすい道を戻っていくことになります。

これで、長岡ガイドのアテンドを受けてのアクティビティはすべて終了です。ありがとうございました。期間中、大変お世話になりました。

夕方の出発まで荷物をホテルのフロントに預けたまま、通りに出てのんびり過ごすことにしました。まずは例によってジャズ見物。前半のバンドの1弦ベースに注目!動画ではあまり低音が録れていませんが、実際にはベース音はよく響いていました。そして後半のバンドはキーボードの左手がベースパートを担うベースレストリオでしたが、ちゃんとグルーヴを出していたのには驚きました。

町中のレストランのテラスで1時間半もかけてゆっくりビールを飲みながらチーズたっぷりの料理をいただき、ぼんやりしてきた頭で空を見上げると、ブレヴァンから飛来したと思われるハンググライダーがくるくると飛び回っています。

そしてその数時間後には、自分も空の上にいました。

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