塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

休養日

2014/07/29

天気は悪いし足の筋肉も張っているしで、今日は完全レストとしました。

午前中はホテルのWiFiを駆使して会社の仮想デスクトップに入ってひたすら仕事です。私の優しい(?)部下たちはあらかじめ「旅行中のメールチェックは1日1回でいいです」と言ってくれていましたが、私がこっそり仕事をしていることを察知すると間髪入れずに指示を仰ぐメールを次々ぶつけてきました。勘弁してほしい……。

お昼どきになったところで雨の中を散歩に出て、土産物屋を覗いてみました。定番の絵はがきやマーモットのぬいぐるみなどの中で、ひときわ目を引いたのはこちらの図柄のあれこれです。この絵はシャモニーの観光開発時代のポスターからとられたもので、昨日の山岳博物館でも現物を見掛けましたが、スキーを履いた1組の紳士淑女が両手を広げてジャンプしている様子は構図としても意表を突きますし、特に男性の顔の描き方はアンリ・ルソー風のヘタウマ感があってコミカルでもあります。

さらにサン・ミシェル教会へと足を伸ばしましたが、その手前に建つ「山の家Maison de la Montagne」の建物も風情があります。

さらに進んだところにあるのが水晶博物館です。アルプスの造山活動の中で生成された巨大な水晶の数々も見事で、水晶採りの仕事の3K(危険・汚い・きつい)ぶりも映像で見ることができ興味深いものでしたが、その隣に併設されている登山博物館が見応えがありました。大きなスクリーンに映し出された3D映像のグランド・ジョラスやモン・ブラン、ドリュ、マッターホルンをタッチスクリーンを使って手でぐりぐり動かせたりルートの解説動画を見ることができたり、ヴァーチャルクライミングができたり、ロープの使い方を実習できる展示や登山の歴史を作ったクライマーたち(シャルレ、カシン、レビュファ、ボナッティ、ボニントン、メスナー……最後はウーリー・ステック)の写真、記録映画コーナーがあったり。昨日行った山岳博物館がシャモニーという町の歴史にフォーカスしていたのに対して、こちらはシャモニーにこだわらず純粋に「今」の登山にまつわるさまざまな情報を提供しようとするモダンな構成で、登山愛好家にとっては山岳博物館の10倍面白い博物館でした。

夕方、ホテルのロビーで長岡ガイドと今後の日程の打合せ。雪の状態から考えて今回の旅行期間中でのモン・ブラン登山は難しいということになり、天候が回復し始める2日後をエギュイ・ルージュのマルチピッチ、そして3日後をエルブロンネル往復の3連キャビンから眺めた鋭峰ダン・デュ・ジェアン登攀に当てることにしました。モン・ブランに登れないのは少々残念ですが、最初からシャモニーが今回限りとは思っていないのでそれほど落胆はありません。それにしても、今年のアルプスの天気の悪さは異常です。シャモニーだけでなくスイスも天候に恵まれず、今年マッターホルンは誰も登れていないしアイガーもほぼ同様だそう。これではガイドもあがったりだろうと気の毒に思いました。