帰国

2010/07/24-25

夜明け前に見たマッターホルンの姿は、雲に巻かれ、そしてびっしり雪がついたものでした。たぶんあれでは当分ルートはクローズでしょうし、一昨日トロッケナー・シュテークで出会った日本人女性も、残念ながら今回の旅程では登れずに終わることでしょう。自分もほんの2日日程がずれていたら失敗に終わっていたかもしれないわけで、そう考えると今回の登頂は本当に幸運だったと思わない訳にはいきません。

始発列車は昨日の事故のことなど知らぬげに定刻に出発し、フィスプの駅でも問題なく乗り換えることができました。さすがは鉄道王国スイス。しかし事故で多くの日本人が負傷していたことを知ったのは、帰国した後でした。

帰りの飛行機の中で見た映画は『Clash of the Titans』と『How to Train Your Dragon』。ギリシャ神話に題材をとった前者は、CGは見事でしたがまあこんなものかなという感じ。後でこの映画の中に『愛人 / ラマン』で主演したジェーン・マーチが脇役で出ていたことを知りましたが、見ているときは気付きませんでした。一方、3Dアニメの『How to Train Your Dragon』の方は素晴らしく、飛翔シーンの雄大さとスピード感、しっかり練られたストーリーが十分に大人の鑑賞に耐えるものです。そんなこんなを見ながら、長い空の旅の末にようやく着いた成田空港。帰国して最初に接した日本国内のニュースは、7月24日の1日、それも関東だけで熱中症で10人以上が死亡したというすさまじいものでした。

参考情報

ツェルマットのスポートクライミング事情

ボル友Y女史から、ヨーロッパへ行くのならスポルティバのミウラを格安で買ってきてくれ(円高なんだし)という非情の指令を受けた私。ツェルマットを徘徊する中で登山用品店をいくつか覗いてみましたが、意外にスポートクライミング用具の品揃えは貧弱でした。

かといって村の中にスポートクライミングの気配もないかというと、もちろんそんなことはなくて、

こんなふうに子供向けの遊具にもホールドがついているし、

人工壁だってちゃんとあります。

そして地元の若者たち(ちょっと若過ぎるけど)も、日々トレーニングに余念がないのでした。

ちなみにこちらは、ふと見掛けたマッターホルン状の庭石。そこまでやるか……。

ミグロでのフルーツの買い方

お買い物はもっぱらミグロで行いましたが、そこでうれしいのは果物、とりわけりんごの種類が豊富なことです。

買い方はいたって簡単。備付けのビニール袋に適当にりんごを入れて、近くの計量器で重さを図ります。そしてそれぞれの商品の籠の上に書いてある商品番号を入力すると、重量を金額に換算したシールが出てくるので、それを袋に貼ってレジへ持っていくだけです。

もちろん最初から小分けにしてあって定価が明示されているものもあるので、どちらを選んでもOK。そしてどちらを選んだにしても、レジのお姉さん(またはおばさん)の無愛想な対応が最後の核心部となるでしょう。

マッターホルンはアフリカの山

マッターホルンの地質は、アフリカプレートがヨーロッパプレートの上に乗り上げた構造になっています。下部は海洋性結晶片岩のマット、上部はダン・ブランシュナップと呼ばれるアフリカプレートの断片。それらを図示すると下の画像の通りで、このダン・ブランシュナップは、ヴァイスホルンまで伸びているのだそうです。

だからといって、マッターホルンにキリンや象は似合わないと思うのは私だけではないはず。

ツェルマットへ行こう

「三度目の正直」でマッターホルンに登れた今回の山旅でしたが、ツェルマット周辺でも登りたい山はまだまだ残されています。少なくとも、モンテ・ローザ、ドム、それにヴァイスホルンの三つはいつかは登りたいもの。ただしドムヒュッテは来年の夏は閉鎖されるとアルピンセンターに告知文が掲示されていましたから、もし来夏ヨーロッパに行けるとすれば、モン・ブランか、またはアイガーなどのベルナーオーバーラントの山へ転進することになるでしょう。それでも必ず何年後かのある夏の日には、ツェルマットのあの景観にまた会うために、赤いBVZ登山鉄道に乗っているに違いありません。