出発

2017/08/21

出発は月曜日の午後。午前中ゆっくり寛いでから自宅を出て、渋谷マークシティからリムジンバスで成田空港に向かいました。

職場の皆さん。1週間あまり不在になりますが、よろしくお願いします。今年の夏休みは仕事のメールは読みません。

成田空港でツアーメイトであるイリエさん夫妻とシュドウ氏、そして保科ガイドと合流。他のゲスト3人とは既に保科ガイドの講習会でご一緒したことがあり、初対面の人はいないので気が楽です。17時すぎ離陸のユナイテッドの寒い機中では毛布にくるまりながら映画『Rogue One: A Star Wars Story』を見ました。おなじみスター・ウォーズのスピンオフ作品ですが、最後に主人公たちが全滅するというハリウッド映画らしからぬ結末に少々驚きました。

太平洋を渡りきったB787は乾いた大地の上をしばらく飛び、やがていったん海の上に出てから高度をぐっと下げてロサンゼルス国際空港に着陸しました。入国審査の際に顔認証のようなキオスク端末があったので「さすがアメリカ、これは楽チン」だと思っていたら、やはり普通に指紋もとられ、さらに審査官の前を通らされました。もっとも審査官とのやりとりは「入国の目的は?」「ヨセミテでクライミングだ」といたってシンプルです。

国内線に乗り換えて、カリフォルニア州の内陸にあるフレズノへ。眼下には相変わらず乾いた大地がうねうねと起伏を見せています。

フレズノ・ヨセミテ国際空港のロビーには、セコイアデンドロン(ジャイアント・セコイア)の模型が林立していました。カリフォルニア州にはヨセミテをはじめいくつもの国立公園がありますが、セコイア国立公園にはこれらの木が多数自生し、中でも樹齢2200年の「シャーマン将軍の木」は地球最大の木(1487m3)とされています。そちらにも興味津々ですが、我々が目指すのは巨木ではなく花崗岩。空港に隣接するレンタカーの店舗で車を借り、緩やかな起伏を覆う夏枯れの黄色い草原を保科ガイドの運転する車でひたすら走りました。やがて2時間も走ると道は山の中に分け入るようになり、そしてトンネルを抜けると、そこに息を呑むような光景が待っていました。

ワウォナトンネルWawona Tunnelを抜けたすぐの場所にある絶景ポイント「トンネルビュー」からはヨセミテ渓谷を真っすぐ奥まで見通す景観になっており、向かって左にはエル・キャピタンEl Capitan、右にはカシードラル・ロックCathedral Rocksとブライダルヴェール滝Bridalveil Fall、そして霞んではいますが一番奥にハーフドームHalf Dome。谷底を樹林が埋め尽くしていて人工物が一切目に入らないこの眺めに接して、ようやく旅の始まりを実感しました。

まずは簡易宿泊施設群ハーフドーム・ヴィレッジHalf Dome Village内の山道具屋に立ち寄ってガスカートリッジを購入してから、わずかに渓谷の奥側に位置するアッパーパインズ・キャンプ場Upper Pines Campgroundに移動しました。この快適なキャンプ場の様子は後述しますが、とにかくここが、これからの数日間を過ごすベースキャンプになります。

キャンプ場の所定の場所にテントを設営したら車で少し離れたヨセミテ・ヴィレッジYosemite Villageに向かい、ストアで翌日の食料の買い出しをしてから、ヨセミテ・バレー・ロッジYosemite Valley LodgeのフードコートFood Courtで夕食をとりました。お値段はやはり観光地価格で高めで、飲み物をつけると20ドルはどうしてもかかってしまいますが、今回のツアーでは夕食はすべて外食ということになっているので仕方ありません。

ともあれ、こうして旅の1日目が終了しました。テントの中で過ごす夜は少々寒いものでしたが、移動の疲れもあってすぐに深い眠りにつきました。