行きにはバッグ一つで機内持ち込みとした手荷物も、帰りは若干のお土産もあって最小限必要なものをデイパックに移し、あとは機内預けとすることにしました。リマの空港では、チェックイン前に機内預け荷物についての質問カウンターがあり、添乗員Sさんからは「せいぜい3問くらいで終わりますから」と言われていたのに実際には係員から
この荷物はあなたのですか?
中には電子機器は入っていませんか?
中には武器(weapon)は入っていませんか?
誰かから預かったものはありませんか?
何日滞在していましたか?
今日はどこにいましたか?
(今日いた)イカの天気はどうでしたか?
ペルー滞在は楽しかったですか?
などと矢継ぎ早の質問を受けました。そして、このカウンターで預けた後は、チェックイン時にも自分で自分の荷物に触れることはできず、空港職員に自分の手荷物を「あれ」と指差して運んでもらう仕組みになっています。テロ対策、あるいは麻薬対策なのでしょうか?
ともあれ0時15分、飛行機は南米大陸を離れました。
乗り継ぎのヒューストンでは、今度は指紋と顔写真をとられました。とられついでに朝食も空港内でとることにして、「TACO BELL Express」というファストフード店でブリトーとクリスピーなタコスのセット、それにペプシを注文しました。しかし、ブリトーは自分の手首から先くらいの巨大さ、タコスも同様だし、ペプシは品切れで代わりにDr. Pepperの、それも日本の感覚なら間違いなくロングサイズになってしまって、はるか昔にワシントンを訪れたときに体験したアメリカンフードの大雑把さを再確認することになりました。
ヒューストンから成田への機内では、隣り合わせた米国人(喜界島で小中学生に英語を教えていると言っていました)とちょっとおしゃべりして、『Harry Potter and the Sorcerer's Stone』でハリポタに関する見識をさらに深め、『リンダリンダリンダ』で韓国人留学生ソンちゃん役のペ・ドゥナのねじの抜け具合に呆れて、機内食は一回パスしました。
日付変更線を越えて、5月21日の午後に成田空港着。お世話になった添乗員Sさんや楽しくご一緒させていただいたツアー参加者の皆さんとは、ここでお別れとなりました。実りの多かった9日間、本当にありがとうございました。
飲料
まずはソフトドリンクから。
高所の旅の常として水は欠かせませんが、ここペルーでも生水を飲むのは御法度。そこでミネラルウォーターの出番となります。炭酸入りの「コン・ガス」と炭酸なしの「シン・ガス」があるのもヨーロッパと同じ。ちなみに左の写真は、標高3,825mのフリアカから標高2,335mのアレキパへ下った飛行機の機中で撮ったもの。1,500m差でこんなに気圧が違うのですから、海沿いのリマから標高3,400mのクスコへ一気に飛べば体調もおかしくなろうというものです。
葡萄ジュースのような紫色の液体は、チチャ・モラーダ。紫トウモロコシに果実やシナモン、ハーブを加えて煮て漉したもので、レシピは店によってさまざま。ポリフェノールをたくさん含んでいるそうですが、リマのレストランで飲んだものはちょっと好きになれない甘さでした。
また、黄色いインカ・コーラはペルー人にとりわけ人気。炭酸はあまり感じず甘さが強いのですが、こちらの甘さの方がなじめました。もっとも、ワイナピチュを登った直後の疲労と空腹のせいだったのかもしれませんが。
アルコール飲料では、やはりセルベッサ、つまりはビールが欠かせません。といっても標高の高いところでのアルコールは高度障害予防上よろしくないので控えめにしていましたが、「クスコ娘」という意味の「クスケーニャ」は愛飲しました。すっきり爽やか系で、苦みはそれほどありません。写真の瓶は12角の石を模した凝ったものですが、ほかにマチュピチュバージョンとつるつるバージョンを見かけました。レストランで頼むとUS$2-3とられますが、イカからリマへ向かう途上の売店ではs/.2.8(!)で買えました。
そしてピスコ。白葡萄の蒸留酒で、そのまま飲んでも香り高くおいしいのですが、旅の途中はもっぱらピスコ・サワーとしていただきました。ピスコにレモンジュース、砂糖、卵白を加えてシェイクすればできあがりで、上にシナモンを振って香りを添えます。レシピもそれぞれだと思いますが、ピスコのアルコールの爽快さとレモンの酸味、それに甘みと柔らかみが絶妙に絡んでおいしいカクテルです。空港では、上右の写真のような「ピスコサワーのもと」も売っていました。これを水に溶き、ピスコと混ぜて氷で冷やすだけ。まだ試していませんが、そのうちトライしてみるつもりです。
最後に、ペルーの飲み物といえばコカ茶を忘れるわけにはいきません。コカ茶は、ぺルーやボリビアではごくごくポピュラーな飲み物で、乾燥させたコカの葉数枚にお湯を注ぐだけ。ティーバッグも売られているようです。ティティカカ湖のホテルでは砂糖入りと砂糖なしの二種類のポットが置いてあって、宿泊客は飲み放題でした。また、コカの葉をそのまま噛むことも普通に行われており、ラ・ラヤ峠越えの際にガイドのデルフィーナさんは袋いっぱいのコカの葉をばりばり食べていました。私ももらって何枚か口にしましたが、噛んでいるうちにすぐなくなってしまうし、妙に喉が乾燥して食べにくさを感じました。デルフィーナさんは「カルシウムが豊富」と言っていましたが、その真偽はさておき、コカの成分、すなわちコカインには覚醒作用があって疲労や空腹感を忘れさせるそうで、肉体労働者の必需品ではあるようです。また高山病の諸症状(頭痛や不快感)も緩和させてくれるのですが、過剰に摂れば幻覚や妄想を招き、しかも依存性を生じるので多くの国では麻薬扱い。残念ながら日本でも、コカの栽培・持ち込みは禁止です。ちなみに、初期のコカ・コーラには、その名の通りコカインが入っていたのだとか。