アンティグア - ヒューストン

底冷えのする一夜が明けて、今日も快晴です。朝食はホテルの中庭に面したオープンデッキのレストランでとりましたが、こちらもとても情緒あるレストランで、フルーツ、トーストとハチミツ、スクランブルエッグ、チーズ、それにやはりブラックビーンズのペーストをコーヒーとともにいただきました。給仕してくれた女性はスペイン語しか使えずコミュニケーションにちょっと手間取りましたが、メニューはちゃんと英語版もあるのでノープロブレム。というより、こうしたちょっとした会話のためにだけでも、スペイン語を勉強しておけばよかったと思いました。

今日の午前中も自由行動で、カメラを首にぶら下げホテルの外に出てみると、あいかわらずアグア火山が町を見下ろしています。昨夜地図を見ていてサン・ヘロニモ教会とレコレクシオン修道院を混同していたことに気付いたので、まずはレコレクシオン修道院へ向かいました。ホテルの前の道を北へ数分で黄色いメルセー教会に突き当たり、そこから西へ4ブロック、約10分でいかにも町外れという感じの場所に本物の（？）レコレクシオン修道院が姿を現します。さっそく入場券を買おうとしましたが、Q30と書いてあるのでUS$4をとりだしたら、受付のおじさんがスペイン語で何やら言ってこれじゃダメだというそぶり。「なんとかかんとかナシオナーレ」と聞こえたので、たぶん現地通貨のケツァーレスでなければ買えないということなのだと理解しました。この旅の中でUS$が使えなかったのは唯一ここだけでしたが、日本でドルが使える店なんてほとんどないことを考えれば、まあ仕方ありません。

そんなわけでレコレクシオン修道院の中には入らず、柵の外から写真を撮っただけに終わりましたが、遠くから見る佇まいだけでも遺跡・廃墟ファンの心をそそる風情があります。こんなことなら少しくらいは両替しておけばよかったなと、ちょっと後悔しました。

レコレクシオン修道院を退散した後は、ふらふらと町中を歩いてみることにしました。サン・ヘロニモ教会の三叉路まで戻って、今度は南へ向かいます。ガイドブックによれば、この道の西側には市場（Mercado）が広がり月・木・土曜日に生鮮食料の屋外市が立つとのことですが、あいにく今日は金曜日。日用雑貨の店が申し訳程度に開いているだけで人も少ありませんでした。市場の中を適当に巡回してから、今度は東へ向かうとハンバーガーのマクドナルドの立派なお店がありました。中を覗くとベンチにあのドナルドが座っていて子供がうれしそうに横で見上げていましたが、その奥にはなぜか火器を手にした警察官が立っています。マクドナルドがなぜ武装警護を必要とするのか？と不思議でしたが、後でグスタヴォに聞いたところでは、外国人の集まる欧米系飲食店や金融機関はKidnapping対策のために重点的に警護されているのだそうです。もっとも、いくらアメリカ人がハンバーガー好きだからと言って、何もアンティグアまで来てハンバーガーなんか食べようとしなくてもいいのではないかというのが率直な感想です。もしや長期ステイのバックパッカー向け？しかし、概してこういうところのマクドナルドは安くありません。

また、この町には宿（Posada）や小さなツアーエージェンシー、それにSpanish Schoolがやたらと点在しています。町の治安が比較的いいことも考え合わせると、グアテマラで時間にゆとりをもって旅をするのならグアテマラシティではなくアンティグアに腰を落ち着け、ここを起点に国内各所への単発ツアーに乗っかるのがよさそうです。実を言えば、この旅行に出る前は「旅の目的はマヤ遺跡なんだから、アンティグアなんて旅程に組み込まなくても……」と思っていたのですが、こうして泊まってみればとても旅情豊かなすてきな場所でした。

正午前にホテルでグスタヴォと待ち合わせ、一路グアテマラシティへ向かう……はずなのですが、アンティグア市内を車で走っているときにちょっとしたアクシデント。石畳の道をゆっくり走っていたら、歩道をいく見目麗しげな後ろ姿の若い女性が見えました。例によってグスタヴォは大喜びし、よそ見をしながらパッパーンとクラクションを鳴らしていたら、石畳の道になぜか鉄杭が突き立てられています。私が「おいおい！」と注意喚起し、グスタヴォはあわててブレーキを踏んでエンスト。ふう、と息をついてから、2人で顔を見合わせて大笑いしてしまいました。

グアテマラシティのラ・アウロラ国際空港で全ての手続を終えると、グスタヴォとお別れです。楽しかった旅をガイドしてくれたグスタヴォに感謝の気持ちをこめて、固い握手を交わしました。ありがとうグスタヴォ、さようならグアテマラ。

飛行機は、すっかり暗くなって夜景が美しいヒューストンに降り立ちました。この夜は、空港近く（といってもシャトルバスで飛ばして10分）のSheratonにステイです。