ルートバーン滝ロッジ〜ルートバーン・ロード・エンド

2020/01/01

トランピングの最終日は、これも天気予報通りに下り坂。しかし主だったビューポイントは既に終えており、歩行距離も約9kmと3日間で最も短いので気持ちは楽です。

目覚めたところでちょっと散歩に出て、ルートバーン滝の下の河原まで降りてみました。これはなかなかの迫力ですが、やはりこの壁を登ろうとするとそこそこ奮闘的な登攀になりそうです。見渡す限りでは弱点は右端の壁ですが、ここも立っている上に岩が脆そうな予感。やはりこの滝は見物に止めておくのが良さそうだと結論を出して、ロッジに戻りました。

朝食の時間になって食堂に向かったところ、大きなオウムが手すりにとまっていました。NZの高山帯に住み知能の高さといたずら好きな性格で知られるケアKeaです。これはラッキー!ただしこの子は慎ましい性格だったらしく、「Kea〜」というその鳴き声を聞くことはできませんでした。

朝食は昨日と同じくオートミールにヨーグルト、そして今日はオーストラリアの発酵食品であるベジマイトをトーストに塗ってみました。塩辛く独特の風味があるベジマイトは、日本人にはそれほど抵抗なく摂れる食品だと思いましたが、それでも口直し(?)にベーコンとスクランブルエッグを追加でいただくことにしました。

今日も9時出発。歩いているうちにパラパラと雨が降ってきたので雨具を身に着けましたが、傘がほしくなるほどではありません。道は森林限界の下に入り、ルートバーン・フラットに向かって斜面を回り込むように下っていくコースどりですが、その一部で1994年に起きた地滑りのために開けた場所を通過しました。

この開けた場所から見下ろすルートバーン・フラットの全景もまた、しっとりと美しいものです。

道の途中には何カ所かの吊り橋があり、これがぐらぐらと実によく揺れます。それにしてもこの標識はわかりやすいことこの上ないのですが、ずいぶんと刺激的でもあります。

森の恵みの豊かさを誇示するかのような鳥たちの見送りを受けつつフラットの標高に降り着いて、脇道に入って少しゆくとルートバーン・フラット・ハットRouteburn Flats Hutが建っていました。

目の前には草原が広がっており、ここはキャンプサイトにもなっています。晴れて暑い日ならあの水流に身体を浸すのも楽しいかもしれませんが、今日は少し冷たい小雨が降っているので眺めるだけ。

フラット沿いの道をのんびり歩いていくと、人懐こいロビンが挨拶に出てきたりもします。

草原帯が終わると道は両側が狭まった渓谷の中の少し高いところを行くようになりましたが、途中で川に面して開けた砂地=フォージ・フラットに降り立つこともできました。水の色がとても美しく、その流れが生み出す複雑な渦をiPhoneのカメラのスローモードで撮ると面白い効果が得られました。

どことなく和風な渓谷美を堪能しながら淡々と歩みを続けていくうちに……。

谷の先に1段低く、そして開けた場所が見えてきました。あれがゴールとなるルートバーン・ロード・エンドRouteburn Road Endです。

この辺りでは自然に我々と一緒に歩くことになったガイドのRemiさんから、絶滅した鳥モアの好物で映画『ホビット』に登場するガンダルフの杖にもなったという丈の高い植物ランスウッドlancewoodや、南極ブナの仲間である銀ブナ・赤ブナ・黒ブナの見分け方を教えてもらったり(しかし見分けられない……)しながら歩きました。

最後のワンピッチはネイチャーウォークの道。豊かな森の中を、ところどころにある解説板で樹木の一生を(こちらから歩くと逆に)辿りながら歩きます。

ついに終点、ルートバーン・ロード・エンドに到着しました。そこにある立派なルートバーン・シェルターで一息ついてランチをとっているうちにガイドたちが我々を促し、最後は少し慌ただしくバスに乗ってクイーンズタウンに向かいました。

▼この日の行程
09:00 ルートバーン滝ロッジ
10:00-05 ルートバーン・フラット
11:05-10 フォージ・フラット
12:55 ルートバーン・ロード・エンド

クイーンズタウンに戻り、Ultimate Hikesの事務所の前で解散です。ガイドさんたちにお礼を言い、少しばかりのチップも包んで手渡しました。彼女たちのホスピタリティは最高のものでしたし、ルートも施設も素晴らしく、文句なしに楽しく豊かなトランピングでした。

初日に泊まったハートランドホテルに再びチェックインし、一休みしてから町へ繰り出しました。トランピングの途中で親しくなった新潟からのご夫婦と熊本からの単独女子と共に打上げをするためです。

5人中に3人女性がいればそれはかしましい……と言うと失礼ですが、打上げの食べ飲み会もまた楽しいものでした。調子に乗ってあれもこれもと注文し過ぎ、NZの物価の高さを再認識させられるというオチはつきましたが、充実していたトランピングの締め括りにふさわしい夜になりました。ありがとうございました。