韓国の氷瀑 III

2023/02/07-10

旅程寸描

▲土旺城瀑布遠望。(2023/02/09撮影)

韓国北東部・江原道の雪岳山설악산ソラクサンの山中にあって韓国を代表する大氷瀑とされる土旺城瀑布토왕성폭포トワンソンポッポ(以下「トワン」と略称)のことを知ったのは、廣川健太郎さんの著書である『氷の世界へ チャレンジ!アイスクライミング』(東京新聞出版局 2004年)の記事によってでした。もっとも、この本を自分が手に入れたのは同じ著者による『新版アイスクライミング 全国版』(白山書房 2016年)が出る少し前だったと記憶していますから、それほど昔のことではありません。

トポの記述によればこの滝は下段90m、滑床状200m、上段100m+80mという構成で、それまでカナダやヨーロッパの大氷瀑・大氷柱の記録は時折目にしていましたが、お隣の韓国にこんなに立派な氷瀑があったとは!……と心躍らせつつ初めて韓国でのアイスクライミングツアーを行ったのは2019年のこと。さらに2020年にも韓国に渡ったのですが、いずれもコンディションの問題のせいか登攀許可が下りないということでトワンには登れず、もっぱら人工滝で韓流アイスクライミングの真髄(ランナウトと激混み)を堪能しているうちにCOVID-19のために海外渡航自体ができなくなってしまいました。

その後、とある事情から韓国への渡航はもうあるまいと諦めかけていたのですが、COVID-19が収まってきてみるとどうしてもこの滝にチャレンジしたくなり、過去2回ガイドしてもらっているJeon Yonghak氏にダメ元でマンツーマンのガイドを依頼したのが2022年12月のことです。しかしその時点で既にJeonさんの空き日程は限られていたため、ピンポイントで2月8-9日の2日間を登攀日程とし、その前と後に移動日を付けた3泊4日の旅程を組んだのが年明けすぐ。その後、岩根山荘でのアイスクライミング講習を調整の機会とし、2月7日にいよいよ羽田を飛び立ちました。

結果としては天候にも氷のコンディションにも恵まれ、順調な登攀を重ねてトワンの上に立つことができました。もちろんこれはガイド登攀=全ピッチフォローですから胸を張って「トワンを登った」と言える性質のものではありませんが、今の自分の力量からすればこの登攀はチャレンジでしたし、ロケーションの素晴らしさもあって自分のクライミング人生の中でもとりわけ記憶に残る一本となりました。この登攀を完遂できたことを、素直に喜びたいと思います。

行程表

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日程 行程
2023/02/07 羽田からソウルへ。
2023/02/08 メバウィ・アイスパーク(人工滝)。ソクチョ泊。
2023/02/09 トワンソンポッポ。ソクチョ泊。
2023/02/10 ソウルから羽田へ。